低身長の男は性格が悪いと言われる理由 研究で分かったこと
背が低いと性格が悪くなる、とは研究でも言い切れません。性格の傾向と結びついていたのは、背の低さより背を気にする気持ちのほうでした。だから、性格より目線と態度を整えれば、周りからの見え方は変わると思います。
背が低い男は性格が悪い、という書き込みを見ると、自分のことを言われたようで、いい気はしませんよね。本当にそうなのか、自分もそう見えているのかを、確かめたくなる気持ちも分かります。
ここでは、よく見かける言われ方と、元になったナポレオン・コンプレックスという言葉を見ていきます。そのうえで、背と性格を調べた研究を並べました。何cmから背が低いと言うかの目安は、このサイトの「数字」の分類の記事で比べています。
この記事で分かること
- 言われ方はいくつかある
- ナポレオン本人は平均より高かった説がある
- 背と性格の結びつきは研究でも割れている
- 目線と態度で見え方は変わる
低身長の男が性格が悪いと言われる理由
背の低い男性に向けられる言い方は、1つではありません。「ひねくれている」「負けず嫌い」と言われることもあれば、「支配的で好戦的」「卑屈」と言われることもあります。
検索でも「低身長 男 性格悪い」という語が並ぶので、同じことが気になって調べる男性は多いのだと思います。
言われ方はいくつかある
よく見かける4つの言い方について、どんなときに言われやすいかと、研究で分かっていることを表に並べました。
| 言われ方 | どんなときに言われやすいか | 研究で分かったこと | 分かっていないこと |
|---|---|---|---|
| ひねくれている | 「どうせ自分は」が口ぐせになっているとき | 人を利用しがちな性格の傾向は、追試では背の低さと結びつかなかった | 背を気にする気持ちと性格のどちらが先か |
| 負けず嫌い | 人と比べてばかりいるように見えるとき | 背の高い相手と組み、自分だけで分け方を決められるゲームのとき、背の低い側が取り分を多くした | それが野心なのか、扱われ方への反応なのか |
| 攻撃的 | 支配的で好戦的になりやすい、という見方と重ねられるとき | 辛いソースの量で見た直接の攻撃では、差が出なかった | ほかの場面でも同じか |
| 卑屈 | オドオド・コソコソしているとき | 背と結びつけて調べた研究は、調べた範囲では見つからなかった | ― |

4つの言い方のうち、研究で調べられているのはお金の分け方と性格の傾向の一部で、性格の傾向は追試では背の低さと結びつきませんでした。4つめの言い方を背と結びつけて調べた研究は、私が調べた範囲では見つかりませんでした。
言われた言葉を「自分の性格の話」ではなく「背が目に入りやすいから出てくる話」と分けて聞けると、ひとりで抱え込まずにすみます。
言い方はいくつかありますが、どれも背の低さが目に入りやすいぶん、性格の話がそこに結びつけられやすい、ということだと私は思います。
ナポレオン・コンプレックスはどんな言葉か
背の低い男は威張る、という話になると、決まって出てくるのがナポレオンの名前です。言葉の由来と、ナポレオン本人の背の高さを分けて見ていきます。
通俗の心理学から来た言葉
この言葉は、背の低い人が支配的で好戦的になりやすい傾向を指して、20世紀から通俗の心理学で使われ始めました。ナポレオン症候群や、低身長男性症候群と呼ばれることもあります。
もとは背に関係なく、野心的な男性に使われていた言い方だったそうです。それが心理学者アドラーの「劣等感」の考えと結びついて、背が低くて威張る大人に使われるようになりました。
本人は平均より高かった説
ナポレオンは兵士から「ちび」で始まる愛称で呼ばれ、敵の国の風刺画では子どものように描かれていました。けれど、亡くなったあとの検死の記録を今の単位に直すと、169cmほどになります。

当時のフランスの男性の平均は、164cmほどでした。フランスの単位は英国の単位より少し長いので、直さずにそのまま伝わった数字が、小柄だという話につながったとも言われています。
背の高い近衛の兵士とよく人前に出ていたことも、低く見えた理由に挙げられています。一方で、157cmだったと主張する歴史家もいて、説は分かれています。
出典:東洋経済オンライン「頭のいい人のセンスが身につく世界の教養大全」の抜粋
出典:Wikipedia「ナポレオン・コンプレックス」
出典:National Geographic「Was Napoleon even short? Inside the history of discrimination against short men」
名前の元になった本人の背が低くなかったかもしれないと分かると、この言葉で言われても、少し軽く受け流せる気がします。背の高さで人を下に見ることは「身長差別」と呼ばれ、ナポレオン・コンプレックスという言葉は、この身長差別の話とも絡めて語られています。
ナポレオン・コンプレックスは、背の低い男性が劣等感を埋めようと威張ったり張り合ったりする、という俗に広まった見方の名前です。
研究で分かっていること

注意
ここで並べるのは、どれも小さな実験や調査です。1つの結果で、背が低い男性はこうだとは言えません。
本当に背が性格に関係するのかは、言われる側としていちばん知りたい所ですよね。原論文の名前が分かる研究を4つと、別の調査を1つ、結果が割れている所も含めて並べます。
背の低い男性は取り分を多くした
オランダの大学で行われた実験があります。背の高い男性と組んでお金を分けるゲームで、背の低い男性は、自分だけで決められるときに取り分を多くしました。
相手にも断る力があるゲームでは、取り分の差はそれほど出ませんでした。辛いソースを相手にどれだけ出すかという直接の攻撃では、背の低い男性のほうが多く出すことはありませんでした。
性格の差は見つからなかった
英国では、小学校に入るころから背の低い子と平均くらいの子を追い、18〜20歳の時点で比べた研究があります。仕事と学び、恋愛、友だち、困ったときの対処、人づきあいなど6つの面で、背による差は見つかりませんでした。
差と結びついていたのは、背よりも、家の暮らし向きや性別のほうでした。
背を気にする気持ちと結びついた
性格の傾向を調べた研究には、367人を調べた調査と、同じ調べ方をその2.6倍の943人でくり返した追試があります。最初の調査では、人を利用しがちな性格の傾向が、背が低いことと、背を高くしたい気持ちの両方に結びついていました。
追試では、背を高くしたい気持ちとは結びつきましたが、背が低いこととは結びつきませんでした。結びつきの強さも、最初の調査より小さかったとされています。
取り分を多くしたのが野心なのか、扱われ方への反応なのかは分からない、とナショナル ジオグラフィックはまとめています。私はこの結果を、背が性格を決めるというより、そのときの行動の出方の話として受け取っています。
出典:Psychological Science「The Napoleon Complex: When Shorter Men Take More」
出典:Archives of Disease in Childhood「Personality functioning: the influence of stature」
出典:Personality and Individual Differences「The Napoleon complex, revisited: Those high on the Dark Triad traits are dissatisfied with their height and are short」
出典:Personality and Individual Differences「Exact replication of Kozłowska et al. (2023) 'The Napoleon complex, revisited': Contrary evidence in a 2.6 times larger sample」
研究の結果は割れていますが、性格の調査で2回とも結びついていたのは、背の低さより「背を高くしたい気持ち」のほうでした。

結論
性格の傾向と結びついていたのは、背の低さより、背を気にする気持ちのほうでした。
オドオドして見えるのはどんなときか

研究で言い切れないとしても、周りからそう見られている気がする、という不安は残りますよね。背の高さは後から変えられないので、変えられる所に目を向けたほうがいいと私は思っています。
態度が先に目に入る
私は昔、背の高い仲間に、身長のことで少しいじられたことがあります。いまとなってはどうでもいいことですが、そのころを振り返って、ずっと思っていることがあります。
考えてもしょうがない、ということです。背が小っちゃいのはしょうがないけれど、それでオドオドして、自信がなさそうにコソコソしていたら、それこそ卑屈な人間に見えてしまいます。
補えるくらい他を強くする
だったら、自分の中でマイナスだと感じている所を補えるくらい、ほかの所を強くすればいいと思うようになりました。私だったら、強くする所として、表情と態度と話し方の3つを選ぶと思います。
表情や話し方なら、今日の会話からでも整えられます。ゆっくり話す、間を取る、表情をやわらげるといったやり方は、鍛えた体を怖く見せない話の「低身長マッチョが怖いと言われる理由と職場での見られ方 表情と構え」と、そのまま重なります。
背が小さいことでオドオドせず、堂々としていればいい、というのが、昔いじられた私がいま思うことです。「低身長の男が悲惨と感じる場面と抜け出し方 165cmの私の場合」では、背のことでつらいと感じる場面ごとに、向き合い方を並べています。
背が低いことそのものより、背を気にしてオドオドしたりコソコソしたりする態度のほうが、周りには卑屈に映ると思います。
結論
見え方を変えるのは、性格より、目線と態度です。
「どうせ自分は」が口ぐせになるとき
周りからの見え方を左右するもう1つのものは、口から出る言葉です。気づかないうちに同じ言い方をくり返していると、周りはそれをその人の性格として受け取りやすいと思います。
決まり事が比べる癖を作る
学生のころ、周りにいじられやすかった小柄な同級生がいました。その同級生は「どうせ自分は」とよく口にしていて、目線もちょっと下を向きがちでした。
何か面白いことがあっても、表立っては騒がない人でした。それも仕方がないのかもしれないし、その世界で楽しんでいるならそれでいいと私は思っています。
ただ、背は高くなきゃいけない、痩せてなきゃいけない、という決まり事は、人と比べる癖を作ります。
自分は自分でいい
こうじゃなきゃいけない、という考え方を持たないほうが、ずっと楽です。私だったら、人と比べる代わりに、自分の中の確固たるものを1つ決めて、それを磨くほうを選ぶと思います。

いいじゃないの、自分は自分で、と思えたら、「背は高くなきゃいけない」という決まり事を持たずにすみます。
「背は高くなきゃいけない」という決まり事を強く持つと、人と比べることしかしなくなり、「どうせ自分は」と目線が下がっていくのだと思います。
「どう思われているか」を先に想像してしまうときは、「身長コンプレックスが辛いときにまず試すこと 変えられる所を1つ選ぶ」の、想像と実際に起きたことの分け方が役に立つと思います。
よくある質問
Q1.心の病気の名前なのか
A.ナポレオン・コンプレックスは、20世紀から通俗の心理学で使われ始めた言い方です。身長が低い男性が持つとされる劣等感を指す言葉で、いまでは誤った説との見方も出てきています。
Q2.鍛えると攻撃的に見えるか
A.体を鍛えたこと自体より、表情や声、相手との距離の取り方で、威圧的に見えるかどうかが変わると私は見ています。威圧的に見えない距離の取り方や声の出し方まで知りたいときは、「低身長マッチョが怖いと言われる理由と職場での見られ方 表情と構え」を読んでみてください。背が低いからこそ得をする場面もあり、そちらが気になったら「低身長の男のメリットを数えてみた」(準備中)もどうぞ。
Q3.ナポレオンの身長は何cmだったのか
A.検死の記録を今の単位に直した169cmほどという数字なら、当時のフランスの男性の平均の約164cmより高かったことになります。ただ、157cmという説もあり、歴史家の間でも数字は1つに決まっていません。
次に初めて会う人に名乗るとき
ここまで読んで、それでも自分がどう見えているかは気になる、という人もいると思います。気になるときは、明日の1つの場面でやることを決めてしまうと楽だと思います。
目線を上げて名乗る
初めて会う人は、最初のひと言と一緒に、目線や表情を見ていることが多いと思います。背の高さは変えられませんが、名乗るときの数秒の目線は、次の一回から変えられます。
新しい職場や打ち合わせで名前を言うとき、言い終えるまで相手の目から目線を下げない、という手もあります。「どうせ自分は」で下がっていく目線の、ちょうど反対のことです。
性格を直そうとするより、次に初めて会う人に名乗る場面で、目線を下げずに相手の目を見て話すほうが、ずっと早く見え方が変わると思います。


